つくばフォレストクラブ10年の歩み


 はじめに(設立前夜)

 平成18年、筑波大学とつくば市が連携し社会人を対象に「食と緑のマイスター養成講座」が実施されました。この「森林コース」で学んだ有志4人が集まり「森林お助け4人組」を結成、実習を兼ねて森林整備活動に取り組みました。スタートした宝筐山の間伐作業と登山道づくりも軌道にのり仲間も増えた平成20年には『つくばフォレストクラブ』を結成、本格的な森林ボランテイア団体として活動を開始しました。
目的は、茨城県つくば市周辺の山林整備を通して地元住民と交流を図り、里山の再生に寄与し、会員相互の親睦を図ることです。

この会は自然を学びながら楽しむことをモットーとしています。
本来の森林整備以外の主だった行事を列挙します。


会のあゆみ

 つくばエキスプレスの開通により、つくば市はにわかに注目を集め、観光客もどっと押し寄せる名所となりました。自然豊かな筑波山とその周辺に広がる里山は一躍脚光を浴びることになりました。
しかし現状は、60年代高度経済成長以降、里山は役割を終え荒れ放題、宝篋山にハイキングしようにも登山道を探せない状態でした。

 
平成20年(2008年)月、「つくばフォレストクラブ」誕生

 つくば市周辺には手入れの行き届かない荒れた里山や平地林、耕作放棄地が数多くありました。持ち主の高齢化も深刻でした。そうした地元の里山所有者から森林整備の要望がたくさん寄せられ、当会の活動も次第に活発になって行きました。

  発足した同じ平成20年、茨城県では「森林湖沼環境税」が導入され、その財源を有効に活用しながら森林の保全整備や、湖沼などの水質保全のための施策等が行われることになりました。

「つくばフォレストクラブ」の会費は、一人年間1000円です。会の資金だけでは活動は賄えません。発足当時から、各種団体から支援を受けながら事業を展開してきました。

   茨城県元気な森林づくり活動支援事業

   エコ農業茨城NPO法人参画推進事業

 ③  公益法人「エコいばらき」環境保全基金

  などに当時から協力いただき、

 ④ 森林・山村多面的機能発揮対策交付金

 ⑤  アイラブつくばまちづくり補助事業

     を後年追加申請し協力いただいています。

 
・ 宝筐山の白滝整備、ハイキングコースの開拓、登山道づくりと活動内容は多岐に渡りました。

自然の樹木に名前と説明を添えた標札を付け、登山者が休めるようにと休憩用の椅子を10脚備え付けました。市民も参加して宝篋山自然観察会を行いました。
これらの活動は地域広報誌「まごころかわら版」に掲載され、広報されました。

 

平成21年(2009年)

・ そば栽培とそば試食会

つくば市山口地区の耕作放棄地を活用しそばを栽培。昔ながらの作業にこだわり手動式の農機具を使いそばは天日干し、12月には地域住民も参加しそば打ちと試食会を行いました。そば打ち行事は現在まで続いています。

 

平成22年(2010年)

・ 「つくばスローマーケット」に参加。

里山の整備で切り出した竹の廃材を利用して、子供の遊具ポックリを制作し販売、珍しさが受け大人気となりました。

 つくば市経済部農業課が管轄する「つくば市身近なみどり推進着業」の要請を受け、市内4か所の平地林46,610㎡の整備を開始。契約では向う10年間に渡る事業です。

 

平成23年(2011年)

 つくば市の緊急雇用創出事業として高崎自然の森と六斗の森の中間にある「おぐろくの森」2.5キロの里山道づくりに着手。整備対象地域は23万3673㎡。希望者7名が参加し夏の暑い盛り、53日間にわたる労働で市民の森が完成。引き続き「つくばフォレストクラブ」が地権者と協定を結び、里山道周辺の林内整備を行っています。里山景観の維持と安心して里山歩きが楽しめる市民の森づくりは現在に引き継がれています。

・ 3月11日東日本大震災発生。

 6月には3.11で大きな被害を受けいまだ余震が続き不安な毎日を送る被災地、いわき市のNPO法人「いわきの森に親しむ会」を訪れ、大歓迎を受けました。「湯の岳山荘・21世紀の森公園」でユニークな活動を展開する現場を視察。戸渡の避難勧告地域では水田や畑が放置され無惨な姿をさらした農村風景を目にしました。

 12月、つくば市高崎自然の森で開催された、つくば環境フォーラム、つくば市農業課主催の間伐体験イベントに協力。この行事は毎年開かれ協力活動は現在も続いています。

 

平成24年(2012年)

・ 56日午後046分、突然つくば市を襲った竜巻は1名の死者と多くの負傷者を出し、家屋や畑に甚大な被害をもたらしました。当会々員の仲間も被害にあいました。
つくば市社会福祉協議会によりつくば市災害ボランティアセンターが設置され、活動件数362件、ボランティアも3,500人以上の支援活動がありました。
「つくばフォレストクラブ」は翌日から現場に駆け付け、被災家屋の後かたずけ、飛散物の回収、被害家族への炊き出し等、災害ボランティア活動に従事しました。


・ 61日・2日、筑波大学山岳科学センター・菅平高原実験所に宿泊し、田村教授指導の下、実験所の植物観察、根子岳登山、湿原などの植物観察研修会。

・ つくば市制5周年記念において、一連の活動が評価され「環境保全」表彰を受けました。

 
・ おぐろくの森を保全・整備するため、つくば市と「アダプト・ア・ロード」の契約を締結。

 

平成25年(2013年)

・ 6月21日から23日、筑波大学田村教授の指導の下、大学院生と共に草津セミナーハウスに宿泊し、草津白根山周辺の高山における気温の逆転現象、構造土の発生、芳ヶ原湿原の植物観察などを行った。

報告書「草津白根山における気温の逆転現象と構造土」を発表。

 

・ 平成25年度から、林野庁に置いて「森林・山村多面的機能発揮対策交付金事業」がはじめられ、茨城県ではその受け皿となる団体(茨城県森林保全協議会)が少し遅れて設立されたため、12月に小茎の0.5haを急遽申請し、この事業が始まった。

 

平成26年(2014年)

・ 724日から29日、北海道の礼文・利尻島に研修旅行。

筑波大学田村教授の指導の下、大学院生とともに日本の北の端2島で高山植物を観察。

 

平成27年(2015年)

 

・ 610日から11日、日光・戦場ヶ原、日光白根山の植物観察を行った。

 

20181月、本白根山の鏡池の北側、白根火山ロープウエー山頂駅の南側で噴火が発生しました。)

 

・ 三宅島の自然観察研修会。

三宅島は2000年(平成12年)の噴火を含め百年の間に4回も噴火災害に見舞われています。研修の目的は①噴火後の植物遷移の姿を観察②筑波大学が進める環境保全型緑化工法の見学でした。訪れた平成261113日から15日、住宅地の避難命令は全て解除されていましたが火山ガスは流れ続けていました。

 

平成28年(2016年)

 

・ 6月28日から7月2日。日本の南端、沖縄八重山諸島旅行。亜熱帯植物の観察旅行。

 

・ 年末そば無料宅配サービス開始。

アイラブつくば事業としてつくば市から補助を受け、福祉事業として地域の独居老人にソバのサービスを行う。300食、各自宅に配ったり、近くのソバ屋に集まりそばの味を楽しんでもらいました。

 

平成29年(2017年)

・ 614日から15日。奥会津・宮床湿原、帝釈山、田代山で高山植物観察会。

 

平成30年(2018年)

・ 624日から27日。秋田・森吉山植物観察会。

 現在も活動の中心は「おぐろくの森」の整備です。基本的には月3回、継続して続けられています。